★ 井戸型ポテンシャルの定義は、以下のようにする。


ポテンシャルが高いということは、エネルギーが高いということ。位置エネルギーでは高さが高いほどポテンシャルが高い。

この場合、井戸型にエネルギーが高いということは他の原子などが井戸型に存在し、ぶつかると物理的反発により押し返されることを想定している。

★ ポイント

• 束縛条件「x→無限で波動関数→0」「波動関数の境界での値が一致する」を用いる

★ 解答

この条件でシュレーディンガー方程式

を解いて、粒子がどのように分布するか求めたい。

式変形し

ここで、領域ごとのポテンシャルを代入して、

のように、波動関数は二つに分かれる。

まず、|x|>aでの波動関数uの振る舞いについて考える。
①の式を変形し、

この微分方程式は簡単に解けて、解uは

となる。
ここで、

について考える。

E>V0のとき、純虚数なので、xが無限大のときどちらの項も0に収束しない。(束縛状態にならない)

よって、E

xが無限大のとき波動関数は0になることから、波動関数は場合分けして

と求められる。このときの波動関数は、以下のようなグラフになる。

粒子がポテンシャルの壁を突き抜けて、「染み出して」行くのがわかる。
壁の中に空間があればそこに粒子が存在することになる。


次に、|x|

最初の方で求めた②の式

について、同様に
とおく。

エネルギーEはゼロより大きいので、kは正。

従って、波動関数uを展開して

とかける。

波動関数のx=+-aにおける連続性から規格化し、整理する。

連続性→関数の値、微分係数の値が共に一致すると言い換えられる。

先程求めた|x|>aでの式を用い、





一、Aがゼロの時、
先程計算を省略した規格化条件の式より、Aがゼロなので
が成り立つ。



二、Bがゼロの時、

先程計算を省略した規格化条件の式より、Bの値がゼロなので


が成り立つ。


これらの条件式の解により、波動関数のkやρが決まる。

解の個数個ぶん、波動関数が存在するともいえる。



二、のBがゼロの時、

式を簡単にするために下の量を定義すると

規格化条件により成り立つ式は以下のように解を持つ。

一、のAがゼロのとき、

同様に

以上の議論が意味すること